じゃがペディア

知っているようで、知らない、そんな言葉が聞こえてくるのは、あまりにも身近な存在だから?日本のみならず、世界中で愛され続けている、“じゃがいも”の魅力を徹底公開中。

皮を重んじた、ドイツの皇帝。

1888年に即位した、ドイツの皇帝ヴィルヘルム2世の勅令より。
「じゃがいもは皮をつけたまま食べよ。
しかし、どうしても皮をむく必要があるなら、けっして生のうちにむくな。
必ず蒸すか、煮た上でむくようにせよ」。
野菜は皮に近いところほど栄養分が豊富で、じゃがいもの皮もしかり。
国民思いなのか、単なるじゃがいも好きだったのか。

麻袋のままじゃ、終わらない。

ラグランスリーブとは、襟ぐりから袖下にかけて斜めの切り替えが入った袖のこと。
腕が動かしやすく、野球のアンダーシャツにも使われている。
そのルーツはじゃがいもにあり。
クリミア戦争の際、イギリス軍のラグラン司令官が、
じゃがいもの麻袋の左右を切り落とし、
負傷兵が脱ぎ着しやすい服を考案したことが始まりとか。

Cを摂るなら、ポテサラを取ろう。

ビタミンCといえば、生野菜やフルーツのイメージだが、
コロンとした実の中にしっかりビタミンCを蓄えているのがじゃがいも。
一人前の野菜サラダとマッシュポテトを比較してみると、
マッシュポテトの方がビタミンC量を多く含むというデータもあり。
バイキングのサラダバーでは、
ポテトサラダ多めに取ることをおすすめしたい。

クレームから生まれた、ポテチ。

世界初のポテトチップス誕生は約150年前。
アメリカのあるレストランで「フライドポテトが厚すぎる」という客のクレームに、
フランス人のコック長が発奮。うす~いフライドポテトを作ったところ、
おおいにウケたのが始まりとか。日本の生みの親は濱田音四郎氏。
戦争中にハワイで知ったポテトチップを再現し、昭和24年に発売。
フラダンスを描いたパッケージは今も健在だ。

おふくろの味は、海の厨房から。

家庭料理の定番「肉じゃが」は、旧海軍の厨房が発祥。
無敵のロシアバルチック艦隊を破って有名になった東郷平八郎元帥が、
イギリス留学中に食べたシチューを日本風にアレンジして作らせたそう。
海軍といえば、伝統的に「金曜カレー」も名物で、
海上生活にメリハリを持たせるのも目的だとか。
昔も今も、船員にはじゃがいもが欠かせないのだ。

手早く、あせらず、ポテサラの鉄則。

ポテトサラダのコツを理論的に分析しよう。
じゃがいもは、熱いうちは味を吸収しやすいが、油分は吸収しにくい。
つまり、熱いうちにマヨネーズを加えてしまうと、
マヨネーズの油分が分離して、口当たりが悪くなってしまうことも。
ということで、「下味は熱いうちに、マヨネーズは冷めてから」。
この鉄則を守れば、ポテサラ名人の道も近い。

あの名車に、じゃがいもを乗せて。

フランスの名車、シトロエンの「2CV(ドゥ・シュヴォー)」。
この傑作の誕生にじゃがいもが関わっている。
1930年代、シトロエン社では、農村で働く人々のための小型車を研究開発。
「2人の大人が50kgのじゃがいもを乗せて走れる燃費の良い車」を
発売したところ、ユニークなデザインも愛されて大ヒット。
グルメの国の車には、農民を想う気持ちも込められていたのだ。

浮く時があれば、沈む時もある。

じゃがいものホクホク度を見極める方法。
塩水(1リットルの水に120gの食塩を入れたもの)にじゃがいもを浮かべてみると、
でんぷんの多いホクホク系は沈み、少ないものは浮く。
つまり、ホロッと煮くずれさせたい料理なら沈んだものを、
煮くずれしないメニューを作りたい時は浮いたものを使うとOK。

夏に出現する、世界一のコロッケ。

メークイン発祥の地、北海道檜山郡厚沢部町。
この町では、夏になると「世界一のコロッケ」が揚げられる。
150kgのメークインを使い、長さ2メートル、厚さ10センチのコロッケを成型。
重さ200kg以上のコロッケが、クレーンに吊るされて
中華鍋に投入される光景は壮観。
町民と観光客が一緒になって、熱々メガコロッケに群がる姿も味わい深い。

ポテトがのらない、焼きそばなんて。

栃木県足利市の名物は「ポテト入りやきそば」。
ソース焼きそばの上にじゃがいもをのせた、ボリューム満点のメニューだ。
かつて足利市では、蒸かしたじゃがいもと長ネギをソースで炒めた
“ポテト”という名前のおやつを売っていた時代があり、
それが焼きそばに進化したのではないかという説もある。
ちなみに、栃木県佐野市の名物は「いもフライ」。
栃木県民のじゃがいも愛は深い。

じゃがいもに、火あぶりの刑を。

ヨーロッパでは12世紀から18世紀頃まで、
野菜や動物の裁判が大真面目に行われていた。
当時のじゃがいもの罪状は、種イモの発芽によって繁殖するじゃがいもは、
神が定めた雌雄による繁殖ではないので有罪という判決に。
哀れなじゃがいもは「火あぶりの刑」を言い渡されたとか。
それがベークドポテトになったかどうかは定かではない。